日本のカジノは『各地域に1カ所ずつ』というのが、IR議連の掲げる原則です。北海道や沖縄は言うまでもなく、人口も観光客も多い関東圏・関西圏も、その地域に1カ所だけです。
この原則を常識的に考えると、関東圏のカジノは東京都内に作られるのが当然に思われます。何せ東京は、石原慎太郎知事の時代(1999年)に「お台場カジノ構想」が掲げられた位で、同地に社屋を持つフジテレビグループも協力する姿勢を見せていました。しかし、現在では関東圏の本命は横浜で、東京にカジノが作られる可能性は極めて低くなっています。
その理由は、東京の行政はオリンピックの開催準備で頭も人手も一杯で、IR法案に対する準備に手が回らない事です。加えて小池百合子知事の「劇場政治」に振り回され、都議会が機能不全に陥った事も拍車を掛けています。この点が、菅官房長官を中心に「山下埠頭にカジノを!」と政財界が一体となっている横浜に、大きく後れを取っている原因です。
ご存知のように、小池百合子都知事は2017年の衆議院選挙に際して、都政そっちのけで民主党の残党らと手を組み「希望の党」を結成して政権奪取を目指したものの、あまりの理念の無さや失言の数々で支持を失い惨敗。知事になった時から密かに狙っていた「日本初の女性総理大臣」という壮大な野望は、隅田川の藻屑となって消えていきました。
小池知事は、総理大臣の夢が絶たれたこと、そして国民からの人気が腰折れしたことで、政治家としての立場を立て直すことに躍起です。特に東京オリンピックで国内外にアピールすることは、小池百合子が起死回生の逆転をはかる上で絶対に失敗できない、最大のイベントです。従って小池知事は、今後はオリンピック関連に注力してくることは確実で、東京都のカジノ誘致はより一層「無視・無関心」が強まる可能性が高いです。
実際に、小池百合子がカジノ・IR特区について語っている場面は、知事になって以降はほとんど聞かれません。もしカジノ誘致に関心があるのなら、大阪府の松井知事のように、その発言がメディアに登場しているはずですから。
一方、小池百合子や旧民主党分裂残存勢力らに圧勝した安倍晋三総理は、長期政権となる事が濃厚です。2017年は衆議院選挙のためIR法案の審議が頓挫しましたが、カジノは経済対策や地方再生にも有効なので、2018年以降は再び、安倍政権の重要政策の一つとして推進されていくでしょう。そうなると、安倍総理の右腕=菅官房長官のお膝元である横浜が、関東圏のカジノ誘致合戦でより一層有利な立場になったと言えます。
東京へのカジノ誘致を熱望している関係者の中からは「どうせなら国政選挙に勝って、とっとと知事を辞めてくれた方が好都合だった。小池百合子のままでは糞詰まりだ!」と恨み節の口コミまで聞かれます。
というのも、実は東京の候補地はお台場だけではなく、小池知事の政争ネタにされた築地市場の移転先〜豊洲にカジノを誘致する計画もあったのです。逆に、豊洲に移転が決まれば築地市場の跡地にカジノを・・・と、問題がどう転んでもスタートが切れる計画でした。しかし肝心の小池知事が、カジノ誘致を考える余裕が無いばかりか「もう築地がらみの話はうんざりだ!」という姿勢のため、実現は難しいです。
またお台場カジノ計画の方も、後押しするフジテレビグループが韓国利権にまみれた事が理由で視聴率が暴落〜経営が揺らいでおり、他所の事業に構ってられない状況です。専門家の間でも「お台場カジノ構想は完全に頓挫した」という口コミが支配的です。
今後、IR法案の進捗がどの程度早まるのかは不透明ですが、さすがに東京オリンピックの開催される2020年には、各地域のカジノ建設地が決定しています。このタイムスケジュールから見ても分かる通り、お台場や築地以外に新たなカジノ候補地を選定する余裕など無いので、東京への誘致が絶望的な理由の一つです。
ネットでは「カジノの場所は横浜に譲るが、名称だけは「東京」を付けてくれ」と、千葉県の東京ディズニーランドと同様の方式で着地点を図るべきだという、笑い話のような口コミすら広まっています。確かに山下埠頭なら、羽田空港からは高速道路を使えば30分程度と近いので、外国人などには「東京カジノだ」と公言しても全く疑われないでしょう。
東京にカジノが作れない理由まとめ
・小池百合子知事は東京オリンピックの事だけで頭が一杯
・安倍総理の右腕=菅官房長官率いる横浜は、政財界が一体となって誘致
・横浜のカジノに「東京」と名乗らせるのが落とし所?
あるいは一旦横浜に譲り、実際にカジノの運営が始まる2020年台中盤に、再び東京へ誘致するというウルトラCを唱える口コミも聞かれます。現在ではカジノ反対派の勢力も根強い事から「各地方に1カ所」という縛りで落とし所を見いだしていますが、経済効果が本当に大きいことが実証されれば、この縛りを解いて関東で二つめのカジノを東京に〜という流れに持っていくことも可能だという目算です。
一度法案を通して合法化してしまえば、後は何なりと屁理屈をつけてどうにでも改造できるという「悪例」は、PKO法案や住基ネットや郵政民営化など、枚挙に暇がありません。よって東京カジノ誘致派が目論む最終手段は、横浜に競り勝つことではなく、一旦は譲って数年後になし崩し的に東京にもカジノを作ってしまう作戦だ・・・という口コミも囁かれるのです。いずれにせよ、東京に関東圏第一のカジノが作られる可能性は絶望的に低いのです。