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日本の家計の金融資産(不動産は含まない)は総額約1400兆円ですが、その半数以上が預貯金・現金で保有されています。世界の先進国では、預貯金は大体2〜3割程度ですから、日本だけ飛び抜けて高い比率です。
ここでは、アメリカやヨーロッパ各国と日本との、個人金融資産の内訳をグラフにしてみました。一目見て、日本だけ比率が異常であることが分かりますね。
*グラフの参照データ;金融広報中央委員会。日本とアメリカは2009年、イギリス、フランス、ドイツ、イタリア、カナダは2001年末のデータ。
グラフを見ると、金融先進国のアメリカだけでなく、保守的といわれるドイツ・フランスなどでも株式や投信で2〜30%は運用されています。日本の預貯金信仰が、世界の中でもいびつな存在であるかが分かります。
なおイギリスやカナダで「保険・年金準備金」の比率が非常に高くなっていますが、これは日本でいう生命保険などに単純に加入しているという訳ではありません。例えば諸外国では「変額年金保険」や「確定拠出年金」など、自分で運用方法を決める方式が日本よりも多いです。しかも運用指図も、日本人の大半が預貯金で行っているのに対して、欧米では株式での運用比率が日本よりもはるかに高いです。ですからイギリスやカナダでも、株式での運用比率は、上の表よりも事実上は高くなるはずです。
アメリカのように、株や投信での運用比率が多いと、リスクが高くなると捉えられがちです。しかし日本人のように、利息がほぼ無いに等しい預貯金で運用していては、資産が全く増えません。「銀行預金は安全ではない」でも述べていますが、預貯金は決してノーリスクな資産運用ではありません。インフレが起きれば、最も損が大きくなる資産クラスです。株式投資というのは、インフレに対するリスクヘッジだともいえるのです。
また日本では、株式投資はギャンブルの一種だと捉えられていたり、労働こそ美徳であり運用で金儲けをするのは悪徳だという偏見が浸透していることも、投資が普及しない原因の一つでしょう。逆にアメリカでは、投資は相手を援助する行為であり、その対価として利益を得る事は何ら恥じる事はないと思われています。預貯金だって、結局は銀行を通じて誰かに投資される訳ですし。
ですから、いきなりアメリカ人のようにとはいかないまでも、少しは「貯蓄から投資へ」と資産運用を変えていくべきです。特に若い世代の人達は、株式投資で損をするリスクよりも、将来インフレが起きて老後の蓄えが足りなくなるリスクの方が、よりダメージが大きくなるでしょう。アメリカの富裕層が行っているように、国内だけでなく海外企業にも広く分散投資を行えば、株式投資のリスクは大幅に減らせるのです。
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