法人の金融
from マネーガイドJP
世の中には、時期によって需要が大きく変わるサービスがあります。
例えば、夏休みや年末年始などの長期休暇時は、実家に帰ったり旅行に出掛けたりする人が多いので、それに伴って飛行機や新幹線の利用者も増えます。反面、長期休暇の少ない2月・6月・9月・11月などは、空席も目立っています。他に、引越しは年度の変わる3月〜4月にかけての需要が多く、年間のおよそ3分の1がこの時期に行われているのです。このように、繁忙期と閑散期があるサービスは、その時期によって料金が違います。
新幹線の場合、特急券の料金は通常期・繁忙期・閑散期の3種類があり、繁忙期は通常期の200円増し、閑散期は通常期の200円割引と定められています。しかしこれは指定席の場合であり、新幹線の自由席は繁忙期や閑散期であっても料金に違いはありません。
飛行機の場合は、新幹線のように一律に値段は決まっていません。一例として、JALの東京〜大阪の運賃を比較すると、繁忙期(2015年8月15日)の大人普通運賃は27600円、閑散期(2015年9月15日)は25200円でした。飛行機の繁忙期と閑散期の差は2400円だったことになります。格安航空(LCC)のPeachの場合、東京〜大阪の運賃は、閑散期で5000〜7000円程度、繁忙期で8000〜10000円程度となっています(LCCは日によって値段の差が激しいので常にこの範囲ではない)。
夜行バスも、繁忙期と閑散期で料金は違います。値段はバス会社や座席数などにもよりますが、一般的なツアー会社の夜行バスが東京〜大阪の運行を比較する場合、閑散期では6000円前後、繁忙期は7500円前後です。つまり夜行バスでは平均でおよそ1500円の差があります。
引越しの場合、繁忙期と閑散期で料金はかなり差があります。引越し料金は会社やスタッフの人数などで大きく変わりますが、一般的なケースで比較した場合、単身の引越しなら閑散期で4万円程度、繁忙期では5万円程度と、平均約1万円の違いがあります。これが家族4人の引越しの場合だと、閑散期でおよそ10万円、繁忙期では約15万円と、1.5倍以上もの料金差が出る事もあります。
引越しの繁忙期は、料金が高いのも難点ですが、サービスの質が低下する事も大きな問題です。新幹線や飛行機などは、繁忙期であってもスタッフの能力やサービス内容に差はありません。それと違い、引越しの繁忙期は人手が足りなくなるので、引越し会社は大量のアルバイトを雇って対応する事になります。
素人のアルバイトは、経験も責任感も不足しているので、荷物を破損するなどのトラブルが頻出します。引越し時期は学校や会社の都合があって自由に決められない場合が多いでしょうが、出来る限り繁忙期は避けたいですね。
ホテルの料金も、繁忙期と閑散期で違いがあります。特に、アパホテルは時期によって料金差が激しく、閑散期に7000円程度の部屋が、繁忙期には2〜3万円にもなるケースも珍しくありません。アパホテルの支配人は、正規料金を基準として、周辺のホテルの空室状況などを比較して、一定の範囲内で料金を設定する権限を持っているという点が、料金差が激しいことの理由です。
一方で、帝国ホテルやホテルニューオータニなどの料金は、繁忙期や閑散期で単純に値上げ・値下げをする方式ではないようなので、アパホテルのような大きな差は出にくいようです。
ちなみに、2015年9月に、ジャニーズの人気グループである嵐が、宮城スタジアムでコンサートを行います。東日本大震災からの復興支援を目的として開催されるこのコンサートは、4日間の開催で延べ20万人の動員が見込まれています。全国から嵐ファンが殺到する事で、宮城県内(更には周辺県まで)の宿泊施設は8月には既に予約でいっぱいとなっており、中には閑散期に5000円のところを、36000円の値を付けているホテルもあるようです。