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保険加入時に必ず約款を読んでおくべき理由&トラブルの事例

もし貴方が、大勢の人を集めて何らかの行事を開催したいと考えているならば、必ずイベント保険に加入しておくべきです。イベント保険とは、各種催しで起こった事故を保障する保険で、対物・対人賠償共に存在し、多くの損害保険会社がプランを用意しています。

イベント保険に加入しておくべき理由は、行事の最中に事故があった場合の賠償額が膨大になるリスクがあるためです。大勢がケガを負った場合や死亡事故だと、損害賠償が1億円を超える事もあります。ですから、主催者は絶対にイベント保険に加入しておくべきです。

ただし、契約時には補償内容(約款)をよく読んでおく事が極めて重要です。これはイベント保険に限った話ではありませんが、多くの人は保険契約の際に、約款に書いてある事はほとんど読まずにサインしてしまっているのではないでしょうか?補償内容をよく確認せずに契約してしまうと、後々トラブルに発展してしまう可能性もあります。

以下、トラブルの事例を紹介してみます。筆者の母が所属する団体が、大規模な展覧会を開催した時のケースです。会場は2日間で1000人を超える入場者が見込まれる規模だったので、万が一のリスクを考え、保険会社(三井住友海上)の対物・対人保険にも加入していました。展覧会は大盛況で、来場者に怪我なども無く、イベント自体は成功に終わりました。

しかし、会場設営時に二つの事故が起きていました。その一つが、入り口のドアの上部が破損していた事です。原因はおそらく、荷物を搬入した業者が乱暴にドアを開け閉めしていた事が理由ですが、設営時は色々忙しすぎて、破損した現場を誰も認識出来ておらず、結局責任の所在はうやむやでした。そのため、主催者である母達が悪いという最終結論に陥りました。

もう一つの事故が、会場の畳を汚してしまった事です。こちらは明確に母達のミスが汚れた理由なので、特にトラブルにはならないはずでしたが、実は補償の際に大きな落とし穴がありました。

約款を確認していないと保険が無意味に終わるという悪い事例

前述の通り、物損事故に対する保険には加入していたので、母もきちんと保険金は支払われるものだと思っていたようです。しかし、保険会社の説明では、一つのイベントで補償される事故は一箇所だけとの事でした。こうした契約内容は約款にしっかりと記載されていたのですが、イベント前はどうしても忙しくなるため、母達も詳しく読んでいる時間が無かったのです。

しかも、破損したドアと畳が曲者でした。ドアは大きな木材を削って作られた両開きの物で、片方だけ変えてしまうと、色合いや木目が左右でバラバラになってしまうとの理由から、両方とも交換する必要があると会場側に請求されました。ですが、保険会社の補償は、壊れた方のドア1枚分だけだったのです。同じように、畳も汚したのは1枚だけなのですが、全体のバランスを考えて、その部屋の畳7枚全部を交換する必要があったのです。

しかし契約内容により、保険が適用されたのはドア1枚分だけで、残りのドア1枚と畳7枚の交換費用は、全部自腹で負担する羽目になったそうです。保険会社が壊れた物しか保障しないという理由も難癖レベルですが、そもそも約款をよく読んでおかなかった母達が悪いのです。万が一のミスに備えたはずの保険が(自業自得とはいえ)ほとんど役に立たなかった、悪い事例ですね。

確かにイベント保険に加入しておく事は重要です。しかし、後々トラブルが起きないように、約款を契約時によく読んでおく事が不可欠です。これは、イベント保険だけでなく、火災保険や自動車保険など、あらゆる賠償に共通する注意点です。複数の保険会社から見積もりを取って、詳細な補償内容を比較して判断すると、なお良いでしょう。

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