法人の金融

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法人契約だと料金が高くなるもの

世の中のサービスには、法人向けの契約になると個人より利用料金が高くなるものが少なからず存在します。

NTTの固定電話料金

例えば、NTTの固定電話回線の料金は、個人よりも法人契約の方が高くなります。NTT東日本の場合、電話の基本料金は、個人の場合は月額1600〜1700円、法人向けは2400〜2500円となっています。この料金の差は、法人契約した場合は電話帳(タウンページ)に無料で店舗名が掲載されるというメリットが原因です。

不動産契約(オフィスや店舗の家賃)

不動産契約(家賃)も、個人と法人では料金が違う場合が多いです。オフィスや店舗として使用する場合、住宅などよりも人の出入りが多くなる傾向にあるため、物件の汚れや傷みは激しくなり、修繕費が増えるので、法人向けの料金は高くなる、と一般的に説明されます。しかしこれは表向きの理由で、法人の場合は一度店舗を構えると他の場所へ引越す事が難しいため、家賃が高めに設定される(足元を見られる)という裏事情もあります。

自動車保険料

自動車保険の保険料も、個人より法人の方が高いです。自動車保険を個人で契約した場合には、ノンフリート等級制度という仕組みがあり、無事故を続けていると保険料が安くなっていきます。また、運転経験の浅いドライバーは事故率が高くなるため、多くの自動車保険会社では、年齢によって保険料が変わる仕組みも導入されています。しかし、法人契約の自動車は多くの人が運転する事になるので、こうした等級や年齢による割引制度が適用されないのです。そして、法人での契約を承っている自動車保険会社はそれ程多くはなく、選択肢が少ない(保険会社間の競争がない)事も、料金が高くなる理由でしょう。

銀行の法人口座

銀行口座についても、個人と法人では料金差があります。一例として三井住友銀行の場合、同じ銀行内へATMで振込みを行う際は、個人ならば手数料はかかりませんが、法人口座では108円(3万円以上の振込みだと216円)かかります。その上、法人の場合は口座維持・利用手数料として、月額2160円以上が必要になっています。この口座維持手数料は、三井住友だけでなく三菱東京UFJやみずほ銀行でも必要です。

つまり法人の銀行口座は、所有しているだけでもコストが掛かる訳で、相当なボッタクリだといえます。ネット銀行の中には法人口座でも維持手数料が無料の会社もありますが、メインバンクがネット銀行だと、法人としての信頼性が低く見られるというデメリットがあります。

税理士料金(顧問契約の有無に関わらず)

税理士の料金も、法人向けは高い傾向にあります。税理士の報酬には決まりは無く、自由に料金設定する事が許可されており、基本的には売上規模に比例して報酬も高くなります。しかし、ほぼ全ての税理士事務所で、法人契約だと料金が高くなります。顧問契約なしで、決算時のみ対応するという場合でも、個人事業主より料金は高くなります。法人の方が会計処理が面倒な事や、個人事業よりも税務調査に入られやすいことなどが、法人向けの税理士料金が高い理由です。

法人契約がボッタクリ料金になる理由

ですが税理士費用だけでなく、自動車保険も不動産契約も、法人だとボッタクリでもOKだという世間の習わしが、料金が高くなる本当の理由です。

法人はほとんど全ての費用を損金(事業経費)に出来るうえ、中小企業は法人税を払わない為に赤字決算にするのが常套手段なので、契約料金が高くても構わないのです(関連ページ⇒黒字の粉飾と赤字の粉飾)。

日本中の企業が、BtoBのビジネスで高額料金で契約し合い「売上は大きくなる(=社員の給与は増やせる)が会社の決算は赤字になる」という状況を作り合うことが、お互いにメリットがあり、経済合理性に適った方法になる訳です。

このように、個人よりも法人契約の料金が高いサービスは数多いです。個人事業から法人成りを考える場合、節税範囲が大きくなるというメリットだけでなく、コストが増えるサービスもあるというデメリットも把握しておくべきです。

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