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国民健康保険料の計算式と節約方法

日本では国民皆保険制度では、公務員は共済組合、会社員は協会けんぽ、自営業や退職世代など会社に所属しない人は国民健康保険(国保)に加入する事になります。保険料は、会社員や公務員は給与から天引きされますが、国民健康保険料は自分で払う(銀行引き落とし)ので、負担の実感が大きいです。

ですが自営業者や退職世代の人は、工夫次第で国保の保険料を安く節約できるメリットもあります。その最たる方法が、国保の料金が市町村によって異なることを利用して、住所を変えることです。 国保の保険料は、引越ししてでも十分元が取れるくらいに、自治体毎の格差が莫大だからです。

ですが節約方法の前に、国民健康保険料の計算式を知っておく必要があります。

自営業やフリーランスの人が加入する国民健康保険は、それぞれの市町村で保険料の計算方法が違います。基本的には、どの自治体でも

@医療分保険料
A後期高齢者支援金分保険料
B介護分保険料(40歳以上65歳未満)

の3つの合計金額が保険料になります。これら@ABは、それぞれA「所得割」、B「均等割」、C「平等割」、D「資産割」の4つの定数を掛けて算出されます。

・所得割は、前年の所得金額から基礎控除額(33万円)を引いた額に保険料率を掛けて計算します。
・資産割は、固定資産にかかる税金で、その年の固定資産税額に保険料率を掛けて計算します。

計算式としては「医療分保険料(@A+@B+@C+@D)+後期高齢者支援金分(AA+AB+AC+AD)+介護分保険料(BA+BB+BC+BD)=国民健康保険料」となります。そしてここからがポイントですが、料率は各市町村が独自に設定しているのでそれぞれ違いますし、地域によっては所得割・均等割・平等割の3つしかないところや、所得割・均等割の2つしか考慮しない自治体もあります。

実際の計算事例(明石市の3人家族の場合)

これらを踏まえて、兵庫県明石市に住む個人事業主を例に、国民健康保険料を計算してみます(夫は42歳で前年度の収入が400万円、専業主婦の妻は38歳、10歳の子供が1人の3人家族、固定資産税額は10万円と仮定します)。以下の表は、明石市の2016年の国民健康保険料の税率です。

国民健康保険料の計算式(明石市の場合)
  年間上限額 所得割の料率 均等割 平等割 資産割
医療分 520000円 7.25% 30360円 24720円 13.0%
支援金分 170000円 1.65% 7560円 5760円 5.0%
介護分 160000円 1.77% 9000円 5880円 1.8%

@医療分保険料
A所得割=(400万円−33万円)×7.25%=266075円
B均等割=30360円×3人=91080円
C平等割=24720円
D資産割=10万円×13.0%=13000円
A+B+C+D=394875円

A後期高齢者支援金分保険料
A所得割=(400万円−33万円)×1.65%=60555円
B均等割=7560×3=22680円
C平等割=5760円
D資産割=10万円×5.0%=5000円
A+B+C+D=93995円

B介護分保険料
A所得割=(400万円−33万円)×1.77%=64959円
B均等割=9000円×1人(40歳から64歳までの被保険者数)=9000円
C平等割=5880円
D資産割=10万円×1.8%=1800円
A+B+C+D=81639円

以上で導き出された、@医療分保険料、A後期高齢者支援金分保険料、B介護分保険料を合計した金額が国民健康保険料です。つまり明石市で上記の家族のケースでは、57万509円が年間の保険料になります。

隣の市に引っ越せば劇的に保険料を節約できるケースも

当稿執筆時(2016年)で言うと、日本で最も国民健康保険料が高いのが神戸市です。上記の明石市と同じ条件で計算すると、@医療分が49.32万円、A支援分が15.35万円、B介護分が13.3万円となり、合計78.0万円です。

神戸市の国民健康保険料は、上記の家族のケースだと明石市より年間20万円以上も高額になる訳です。 神戸市と明石市は隣接しています。つまり、住まいの場所がほんの一区画違うだけで、年間の支出が20万円も節約できる訳です。

賃貸住まいなら、引越し料金を払っても2年目には元が取れるような金額です。公的健康保険制度は税金と同じで、納めた保険料の大小に関わらず、受けられるサービス(病院での3割負担)は全く同じで、デメリットは何もありません。節約すればするほど家計にとって有利な訳です。

従って自営業者の人や、定年退職して国保に切り替わった高齢者の人などは、住まいを考える際には国保の保険料も比較検討する要素として考えるべきです。また神戸市のように法外に高額な地域に住んでいるなら、引越し料金を支払ってもすぐに元が取れるので、近隣の市町村への移住も検討すべきです。


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