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厚生年金は国民年金の穴埋めをしている

厚生年金は、掛け金総額よりも受給額が少なくなる「逆ざや」が発生すると見積もられています。こんなことが起こる背景には、国民がほとんど知らないある仕組みが隠されているからです。実は、国民年金が払い損にならないために、厚生年金がその穴埋めとして流用されているのです。

一般的には、自営業者(第1号被保険者)が入るのが国民年金で、サラリーマンなど会社勤めの人(第2号被保険者)が加入するのが厚生年金、そしてこの両者は分離していて異なる制度だ・・・と思われがちです。しかし、少し知識のある人は厚生年金はいわゆる2階建てで、1階部分には基礎年金(国民年金)も含まれていることを、知っていることでしょう。

これ自体は正しい認識なのですが、実は厚生年金に該当する部分と、基礎年金の部分は、同じ勘定として同じ組織(GPIF:年金積立金管理運用独立行政法人)で運用されています。

そして、基礎年金の部分では絶対に赤字にならないよう、運用されています。そのため、国民年金の未納・免除者の分や、その運用利回りの補填など、基礎年金部分で生じる欠損を、厚生年金の保険料で穴埋めされる仕組みなのです。ご存じのように、サラリーマンは給与から強制的に天引きされますから、未納が発生しないので、国(GPIF)にとっては好都合なのです。

厚生年金保険料の仕組み

穴埋めされる理由は、基礎部分である国民年金がもし「払い損」になるなら、第1号被保険者の人の未納率がさらに高まることが確実だからです。国民年金の支給額(年間)は「加入年数×19800円」という、極めて単純に計算できるので、払い損になるかどうかは簡単に判別出来ます。

一方で厚生年金(第2号被保険者)は、年収によって納める保険料が変わってきます。また保険料を労使折半していることや、専業主婦(第3号被保険者)なら妻の支払いがゼロでも夫婦の分まで支払われることなど、一見すると第1号被保険者よりもお得に見えるような仕組みが取られています。

これらは全て、年金制度を何とか維持するために作られた「隠れ蓑」だといえます。実際には第2号被保険者は、基礎年金制度を崩壊させないためにその掛け金を流用され、50歳以下の人は払い損になるという悲惨な立場なのです。


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