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政府の借金増加で厚生年金はさらに悪化する!

日本の財政が悪化していることは、皆さんよくご存じでしょう。「日本は破綻する!」という専門家もかなり多くいます。

厳密に言うと、日本国が破綻するのではなく、あくまで日本政府の財政が破綻するだけで、国が滅びる訳ではありません。但し、膨大な政府借金の穴埋めとして、大幅な通貨価値の下落(=インフレと円安)が起きることでしょう。

厚生年金のポートフォリオそして、日本政府の破綻は、厚生年金に極めて大きなダメージを与えることになります。右の図を見ても明らかなように、厚生年金の運用ポートフォリオ(目標値)は、その67%が日本国債で賄うことを目指しています。実際の運用には若干の誤差が生じますが、日本国債が約3分の2を占めることには変わりありません。

これは極めて危険性の高いポートフォリオです。投資の解説書などでは、日本債券は「最もリスクの低い投資対象」だとされており、安全に運用したければその割合を増やすべきだとされています。しかし、この理論はあくまでデフレが続いている現在のことであり、将来日本政府の財政が劣悪化していけば、日本国債は最も危険な投資対象へと変貌します。*関連ページ;国債の保有主体別比率

国債ばかりの運用は悪性インフレで破綻する!

日本国債は、破綻したギリシャなどと違い、その95%が国内で運用されていますので、債務不履行に陥ることはありません。なぜなら、政府は通貨発行権を持っているので、新たにお金を発行して、国債の償還に当てることが出来るからです。

しかし、これを行えば日本円の信頼性が著しく低下するので、間違いなく急激なインフレ(悪性インフレ)が起こります。すると、たとえ元本保証で利子もきっちり支払われても、インフレ率を加味すれば実質元本割れしているという状況に陥ります。

例えば現在の国債の金利は約1%で、1万円を国債に投資すれば、1年後には10100円が返ってくる計算です。しかしインフレ率が5%あると、実際の価値は約9620円に目減りします。国債が元本保証というのは、あくまで「額面の金額」を保証しているだけで、1万円分の価値を保証する訳ではないのです。

一言でまとめると、国債というのは、急激なインフレが進めば、その価値が激減するということです。政府の信用力が高ければ、急激なインフレなどはまず起きませんが、現在の借金まみれの日本政府では、いずれインフレが進む可能性は極めて高いのです。

そうなれば、日本国債の実質的価値が激減するので、3分の2を国債で運用している厚生年金は、とてつもない損害を被ります。

少子高齢化や国民年金の損失補填に回されるなど、厚生年金の運用は非常に厳しい状況です。現在の50歳以下の人は、支払いよりも受け取りが少なくなると見積もられています。この上、政府の借金増大で悪性のインフレが発生すれば、厚生年金には2重のダメージを喰らうことになります。厚生年金制度が「間違いなく破綻する!」と言われる所以です。


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