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空き家が増える原因

近年、町中で空き家を見かける事が増えました。これは少子高齢化が深刻な田舎だけの話ではなく、東京や大阪などの大都市でも、空き家が多く見受けられます。

総務省の調査によると、空き家率は年々増える傾向にあり、2013年では過去最高の13.5%(820万戸)になったとの事です。別荘などの普段利用されていない物件を除外した場合でも、空き家率は12.8%にも上るそうです。日本の住宅のおよそ7〜8軒に1軒が空き家というのは、相当多い割合ですし、様々な問題も起き始めています。

これだけ日本中に空き家が多くなった主な原因は、家を解体すると固定資産税が増える事が大きな理由です。不動産にかかる固定資産税は、その土地に住宅が建っていれば6分の1に減額されるという制度があるのです。つまり、もう使わない家だから取り壊して構わない場合でも、更地にすると税金が増えるので、節税のためにそのまま放置されるケースが多いのです。

この固定資産税の減額制度は、元々は日本に住宅が不足していた時代に、建設を促すために設けられたのですが、充分に住宅が増えた現在でも、その制度だけが残っているのです。時代遅れの法律が取り残されている訳ですね。

他にも、少子高齢化も空き家が増える原因となっています。不動産の持ち主が高齢になって老人ホームに移住して、元の家がそのまま残されてしまった場合や、家主が亡くなっても相続人がいない(不明)といったケースもあるのです。また遺産相続する家族が多すぎても、中々全員の合意が取れないことが原因で、家が放置されっぱなしになるケースもあります。

そもそも、空き家がこんなにも多くなった現状では、古い不動産物件はほとんど買い手がつきません。売りたくても二束三文でしか売れない、かといって解体する費用も無い・・・結果、空き家のまま放置されるという訳です。

問題解決には固定資産税などの法律の改正が必要

しかし、空き家が多くなる事には、様々な問題があります。庭の手入れがされていないと、草木は荒れ放題で害虫が増えたり、野良猫・害鳥などが住み着いたりし、またゴミの不法投棄なども行われやすく、景観が損なわたり近所の住民に迷惑が掛かります。そして、家が老朽化する事によって、地震や台風、積雪などで倒壊する危険性も高まります。また、犯罪のアジトに利用されるケースも考えられます。

こうした問題を受けて、政府や地方自治体も対策に乗り出しています。その一つが、空き家バンクです。空き家バンクとは、空き家の賃貸・売却の仲介を行う制度の事です。空き家バンク制度は、1990年代から一部の自治体で行われていましたが、当時はほとんど注目されてはいませんでした。近年、空き家が増えてきた事を原因として、空き家バンク制度に取り組む地方自治体も多くなっているようです。

他の対策としては、空き家を適正に管理させるための空き家条例を制定している地方自治体も存在します。秋田県大仙市では、2012年3月に、全国で初となる、倒壊の危険があった空き家の強制解体を執行しています。また国土交通省でも、空き家の解体費用や、所有者特定のための調査費用を援助する政策を行っています。

近年では国を挙げて空き家を減らそうという動きが高まってきました。とはいえ、不動産の相続で揉めていてすぐには対応出来ないケースや、調査を行っても所有者が誰なのか不明なままの物件も多いです。何より、最大の原因となっている固定資産税の問題が残ったままでは、根本的な解決は難しいです。

このように、空き家問題は原因がわかっていても、中々解決には至っていないのが現状です。少子高齢化による人口減少で、日本の住宅需要が減少していくのは「確実な未来」なのですから、政府が時代遅れになった法律を改正して土地の税金の逆ざやを廃止し、空き家問題の解決に注力することを望みたいですね。


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