株式投資ガイドブック from マネーガイドJP

株価の上昇が景気に先行する理由

株価変動の法則の一つに「実際の景気よりも先取りする」とか「株価は景気の先行指標」といった格言があります。本来株価というのは、企業の収益性に比例するものですから、好景気の時はぐんぐん上昇して、逆に不景気の間は低迷するように思いますね。

しかし実際には、株価は景気動向よりも一足先に上昇or下落することがほとんどです。2008年後半の金融危機は記憶に新しいですが、2009年度一杯は景気は底の状態で、日本もアメリカも失業率は悪化し、GDP成長率はマイナスを記録しています。しかし株価はというと、2009年3月に日経平均は7000円割れ寸前になったのを底に上昇基調に転じ、8月には1万円の大台を回復しています。同じようにアメリカのNYダウ平均を初め、世界のほとんどの国の株式市場が、景気回復の兆しを待たずして上昇基調に転じています。

この傾向は、1929年の世界恐慌や70年代のオイルショック、2000年頃のITバブル崩壊など、景気後退期において必ず起きてきました。では何故、株価は景気に先行するのでしょうか?それは大きく分けて二つの理由が挙げられます。

一つ目の理由は、景気の悪化は「カネ余り」状態を生み出すからです。景気後退期には、株式市場からマネーが退散し、現金化されて預金や国債などの安全資産への資金逃避が起こります。しかし景気後退期には、政府が金融緩和(利下げ)を行いますから、預金金利や国債の利回りは非常に低くなります。

人間は欲深いものですから、そのような低金利ではお金は増えませんから、長期間運用することには耐えられなくなります。しかし不動産市場は、実体経済よりも遅れて上昇しますし(景気が良くならないと不動産は売れないから)、金や原油など商品市場は、株や不動産や国債のようなインカムゲインがありません。つまり、景気後退期にはどのような金融商品も期待利回りが低くなるので、投資家が利益に飢えた状態が形成されるのです。

カネ余りと心理的バイアスが原因

結局は消去法的に、おそるおそると株式市場にマネーが集まりはじめ、やがて株価が底打って上昇が確認され始めると「この機会を損なってたまるか!」と一気にマネーが集中し、景気の回復(=政府の利上げや国債・不動産の上昇)よりも先に上昇相場が形成されるのです。

このように、投資家がカネはあるのにまともに動けない状態をカネ余りといい、このことが景気回復前に株式市場の上昇を生む原因です。金融の世界は常に「カネ余り⇒バブル形成⇒崩壊⇒カネ余り」ということを繰り返しています。

そしてもう一つの理由は、人間の心理的要因です。株式投資というのは、安く買って高く売ることで利益を出すのですから、少しでも安値で株を購入したい訳です。景気が本格的に回復すると株価は上昇しますが、それを待ってから買うよりも、不景気が続いて株価が低迷した状態で購入する方が、より大きな利益が見込める訳です。

このため、株式市場では常に他人よりも先に動こうとするバイアスが働きます。典型的な例が、3月末に多い株主優待の権利落ちの場面です。本来なら権利落ち日が最も株価が高いはずなのに、大半の優待銘柄が権利確定日の2〜3日前にピークを付けるのは、権利落ち後には株価が下落することを見越して、少しでも有利に売却したいという心理的バイアスが原因です。


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