株式投資ガイドブック | from マネーガイドJP | |
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株主責任とは?福島の原発事故で、東京電力の賠償問題が取りざたされています。そこでしばしば出てくるのが「株主責任」という言葉です。株主が身銭を切って、賠償金を支払うようなイメージを持つ人もいますので、株主責任について解説してみます。 株主責任とは、減資などで株券の価値が激減したり、上場廃止で価値がゼロになることを意味します。例えば2010年にJAL(日本航空)が経営破綻しましたが、この際JALの株式は最終的に上場廃止となり、株価はゼロになりました。上場廃止された場合、当然ながら既存の株主は、投資資金を回収できなくなります。このように、株主が投資資金を回収できなくなることが「株主責任」の意味で、決して新たに負担が生じるわけではありません。 法律上の定義は、株式会社は「株主」のもので、社長や従業員のものではありません。そして会社の利益は全て株主のものであり、また株主は会社の経営方針の決定権を有します。その代わり、会社が倒産した場合、その責任を負う訳です。 ただし株式会社では、株主の責任は「出資額(資本金)を限度とする有限責任」とされていますから、会社を解散して負債が残ったとしても、株主には返済責任はありません。あくまで株主責任というのは「出資額=持っている株券の価値がゼロになる」だけであり、それ以上の負担は負いません。 ちなみに企業の破綻処理の際、会社に残った資産(土地・建物や備品など)を処分するわけですが、その際には弁済順位が決まっています。株主は、この弁済順位が最後ですから、ほとんどの場合、株主には一切お金は残りません。株主よりも弁済順位が上なのが債権者(銀行など)、それより上なのが従業員の給与で、最も弁済順位が高いのが、税金や社会保険料です(関連ページ;倒産時に投資家にお金が戻ってくる割合)。 巨大企業の場合は国有化される国を代表するような巨大企業が破綻した場合、会社を解散するわけにはいかない(大量の失業者が出たり、数多くの取引先に悪影響が出る)ので、国有化されることもあります。国有化とは、国が株主となってその企業を再生することです。 JAL(日本航空)がリーマンショックなどが原因で経営難に陥った時、一旦国有化され、その後再上場したことが典型例です。 既存の株主は存在するまま(増資などで)国が最大株主となるだけの「一部国有化」場合と、全株式を国が買い取る「完全国有化」の場合があります。完全国有化の際には、既存の株式は100%の減資〜つまり株式価値がゼロになり、既存の株主は投資資金が一切回収できなくなります。 国営となる事は資本主義社会では好ましくないという風潮も強い為、近年では完全国有化されるケースはまれです。2008年の金融危機時に、AIGやシティバンクなど大手金融機関が経営危機に陥りましたが、アメリカ政府が行った経営再建策は公的資金注入に留まり、完全国有化までは行きませんでした。
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