株式投資ガイドブック from マネーガイドJP

株式の流動性リスクとは?

株式投資は値下がりリスクがあることは誰もが知っていますが、流動性リスクについてはほとんど知られていません。これは、流動性が低い・・・平たく言えば出来高が少ない、売買が活発でない状態のことを言います。

株の売買は、買い手と売り手がいて初めて成立します。そして株価はいわゆる「セリ方式」で決定します。つまり、株を買いたいという人が売りたい人よりも沢山いる場合は株価は上昇し、逆に売りたい人の方が多い場合は株価は下落します。

しかし、流動性の低い・・・つまり売買高の少ない銘柄というのは、その株を買いたい人も売りたい人も、極めて少数しかいない状態です。こういった銘柄を売買する場合、購入時は割高な価格で、また売却時は割安な価格でしか売れない状態に陥りやすいです。このように、流動性の低いが為に不利な価格で取引を強いられる状態を「プレミアムが付いている」と呼んだり、価格の乖離幅のことを「スプレッド」と呼んだりします。

東証一部の銘柄などはほとんど気にする必要はありませんが、マザーズ・ヘラクレスなど新興市場や、名証・福証など地方に上場する銘柄は、一日の売買高が非常に少ないので、流動性リスクが高い市場だと言えます。

また近年、東証や大証で上場が相次いでいるETF(上場投資信託)も、流動性が極めて低い銘柄が続出しています。特に業種別ETFや商品ETFなどでは、一日の出来高がゼロという悲惨なETFも幾つかあります。この手のETFは、本来は投資するのが難しい穀物相場や金属相場にも手軽に投資できる商品なのですが、余りに出来高が少なすぎて、常にプレミアムが乗った価格で購入・売却を強いられる為に、投資対象としての魅力は激減してしまっています。

不動産や国債など、全ての金融商品が同様

実は流動性リスクというのは、株に限った話ではありません。例えば不動産の売買は、単に価格単位が高額だと言うだけでなく、いざ売りたい際に買い手が見つからず、バーゲン価格で売らざるを得ない可能性があります。

持ち家よりも賃貸が有利だという理論は、持ち家はすぐに売却できるとは限らないので、資産として不的確だからと言うのが理由の一つです。不動産投資は根強い人気がありますが、流動性リスクが極めて高く、そのうえ大抵がローンを組むので、非常にハイリスクな投資方法なのです。

また当サイトでは、個人向け国債への投資は絶対にお勧めしていません。これも、個人向け国債が購入後1〜2年は換金できないという、極めて劣悪な「流動性リスク」を抱えているからです。銀行預金でも現在の利息は大差ないですし、いつでもすぐに現金として引き出せますから、明らかに個人向け国債よりも有利です。

このように、株式投資に限らず、あらゆる資産運用・金融商品の選択の上で、コストや配当・利息だけでなく、いつでもプレミアムが乗らずにすぐに現金化できるのかという「流動性リスク」も加味して考慮すべきです。


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