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年金の前借り制度

年金は受給年齢(現在65歳、今後は更に上がる見込み)に達しないと貰えないのはご承知の通りです。しかし実は、例外的に前借りすることが出来る制度が存在することは、あまり知られていません。

これは、独立行政法人・福祉医療機構が実施する「年金担保融資制度」と呼ばれる制度です。その人の国民年金や厚生年金の受給権を担保として、年間で最大250万円まで借り入れることが出来るという仕組みです。但し、前借り(融資)可能額は、年間受取予定額の1.2倍以内(最大250万円)と定められており、年1.9%の金利も取られます。返済は年金から天引きされます。

また、連帯保証人を立てるか、もしくは信用保証機関に保証料を支払って保証人になってもらう必要があります。信用保証機関は「財団法人・年金融資福祉サービス協会」という所で、2010年現在の保証料率は基本で年率2.18%となっています。

民間のローンなどに比べてはるかに低金利ということもあり、多重債務者が消費者金融のローン借り換えなどにも使っているようです。年金担保融資制度は2008年末時点で、約34万件=1900億円の融資残高が記録されています。

年金担保融資制度の問題点

但し、この年金担保融資制度はさまざまな問題点もはらんでおり、2010年現在では廃止することも検討され始めています。低金利なうえに返済に追われる心配もないので、多額の前借りをしてギャンブルなどで浪費する人が増えているからです。前借りをすればそれだけ受け取れる年金額が減るので、いざ支給年齢に達した時に年金が少なすぎて生活できず、結局は生活保護の受給者になるケースが多いというのです。2008年度に、このようないきさつで生活保護を受けるケースが約5000件あったとされています。

また、同制度に類似した方法で金貸しをする、民間の闇金業者も後を絶ちません。年金を担保とした融資が出来るのは、法律で国(福祉医療機構)だけに限定されています。しかし、年金証書や年金受取口座の通帳を闇金業者に渡してしまうトラブルが相次いでいます。

子供の学費なら奨学金や就学費援助制度、冠婚葬祭など緊急の生活資金なら応急福祉資金などのローン、単身女性や母子家庭向けの融資制度など、国や地方自治体には様々な貸付制度が設けられています。本当に必要な資金ならこういった制度で賄えますし、年金担保融資制度では事実上使途が自由すぎて浪費に使われる問題があるので、廃止することが検討されているのです。いずれにせよ、利用者の側が各種制度のリスクを理解し、生活資金や返済計画をしっかり立てて利用することが最も大事です。


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