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銀行が債権放棄に応じる理由上場企業など有名な会社の経営が傾いた時、しばしば聞かれるのが「債権放棄」という言葉です。有名所では、JAL(日本航空)やアメリカのGM(ゼネラルモーターズ)が経営破綻した際に、銀行が債権放棄することがありました。 債権放棄とは、読んで字の如く、債権者(事業ローンを融資していた銀行や、社債購入などで企業に資金提供していた人達)が、その資金の一部(時には全額)の返済免除をすることです。平たく言えば、借金の棒引きです。債権者にとっては、貸した金を回収する事を諦める訳ですから、損をする訳です。 企業の資金調達にはデット(融資=社債発行)とエクイティ(投資=株式発行)の2種類があります。株主になれば、企業が大儲けすれば大きな利益を得られますが、業績が悪化すれば何も得られないリスクがあります。債権者は、企業が大儲けしようが赤字を垂れ流そうが、債券の元本+利子を得られる権利があります。 そして企業が倒産した場合、弁済順位は株主よりも債権者が優先されます。銀行が出資(株式投資)ではなく融資(金貸し)に徹する理由は、回収不能リスクを負いたくないからです。銀行の運営資金は、預金者から預かったお金なので、リスクの高い事は出来ない事が理由です。 では何故そんな保守的な銀行が、わざわざ債権放棄をするのでしょうか? その理由は、放棄しなければ該当企業が倒産するなど、より悪い状況に陥り、さらに損失が広がる危険性が高いと判断するからです。 全ての融資が焦げ付くことを避けるのが理由例えばJALの件で、銀行が一部の債権放棄をするというのは、もし経営がさらに悪化して完全に倒産すれば、全ての債券(JALへの融資や社債)が紙くずとなるリスクがあります。しかし、債権を一部を放棄すれば、JALの経営負担が軽くなり、再生できる可能性が高まるので、残りの債権は回収できます。 つまり、倒産されて貸した金が一切戻らないという最悪の事態になる可能性がある場合、ゼロになるなら一部でも回収できた方がマシだという、債権者の苦渋の決断が債権放棄なのです。但しその際には、企業の経営再建計画に厳しく口出しし、さらに被害が広がらないよう経営監視の目を厳しくします。 また銀行の場合は、回収の見込みが薄い債券=すなわち不良債権を抱える事は、自己資本比率の低下を招くなど自身の経営悪化も招きます。銀行は、BIS規制(バーゼル合意)という国際的な規制があり、自己資本比率が下がると国際業務が行えなくなる等の不利益が生じます。よって、さっさと不良債権として処理した方が、将来的に銀行自身の経営健全化になると見込める場合に、債権放棄を行うのです。 銀行が債権放棄する理由まとめ これは大企業と銀行というケースに関わらず、中小企業と信用金庫や商工ローンなどとの関係でも同じです。中小企業の場合は、完全な債務免除となるケースはまれで、大抵は借金の支払い期限を延ばしたりする「リスケ」が多いですが、根本的な動機としては同じです。 いずれにせよ、銀行側にとっては一銭も回収できなくなるリスクがあるなら、少しでも戻ってきた方がマシだという、消極的な考え方が理由な訳です。
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