特集〜財政破綻で起きる10の事柄 from マネーガイドJP

為替レートが極度の円安になる(起きる確率=99%以上)

政府が財政破綻を起こした国は、すべからく自国通貨の為替レートが暴落します。政府が国債(借金)の棒引きや帳消しを行うわけですから、そんな国の通貨は誰も信用しなくなるからです。

通貨安の仕組みはこうです。まず外国資本の企業や外国人投資家が、その国から逃げ出します。そして、資産を大量に持つ自国の富裕層も、海外へ資産を持ち逃げしようとします(キャピタルフライト)。そのため、その国の通貨を叩き打って外貨に交換する人が激増するので、為替レートが大幅な通貨安となるのです。

為替レートは本来、二国間の通貨価値の比較ですから、一方の国の通貨が信用を失って価値が減価しても、もう一方の通貨がそれ以上に信用を失っていれば、逆に通貨高になります。日本円が信用を失っても、それ以上に米ドルが信用を失えば、為替レートは円高になる訳です。しかし、政府の財政破綻というのは究極の信用失墜ですから、ほぼ100%の確率でその国の通貨は安くなります。実際に、デフォルトを起こして通貨高となった国は、古今東西、どこにも存在しません。

日本の場合も、政府が財政破綻すれば、為替レートは円安に向かいます。それも、今まで経験したことのない、急激なペースでの円安です。どれ位の円安になるかは、学者が様々な計算を行っていますが、総合すると1ドル=200円では済まず、300円を越えるレベルだと予測されます。

 

将来的には極度の円安が輸出産業を後押しして経済は復活する

但しこの円安は、長い目で見れば、日本経済の復活に大きな追い風となります。極度の円安は、自動車・家電といった日本の基幹産業の輸出競争力を高めます。90年代にデフォルトを起こしたブラジルや、アジア通貨危機で破綻同然に陥った韓国が、2000年代に入って経済が急成長を遂げられたのも、極度の自国通貨安が輸出産業を後押ししたためです。

日本政府のデフォルトは、極度のインフレや大量の失業者を生み、国民生活を破壊します。しかし破綻の数年後には、円安を武器として輸出産業が急激に収益を増加させ、日本に多大な利益を生むことで、国民生活を回復させていくはずです。

だからといって「さっさとデフォルトした方が得だ」という訳ではありません。日本政府の財政再建は、徹底した金融緩和(日銀の国債買い取り増加)で簡単に達成できますし、それを行えば日本経済復活の原動力である「円安」へも誘導できます。失業者が増えれば自殺者も増えますし、死なないまでも生活基盤が破壊される国民が激増します。日本が取るべきベストな道は、さっさとデフォルトする事ではなく、日銀の金融緩和でデフォルトを避け、名目経済成長率を増加させていく政策なのです。


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