特集〜財政破綻で起きる10の事柄 from マネーガイドJP

郵貯&銀行の経営危機(起きる確率=100%)

現在、大手銀行の資産の2〜3割が、日本国債へ投資されています。もし日本政府の財政破綻懸念が強まれば、まず長期金利が上昇します。長期金利とは、10年物国債の利回りのことで、国債の買い手が増えれば金利は下落(国債価格は上昇)し、買い手が減れば金利が上昇(国債価格が下落)します。

現在、対GDP比の政府債務が世界最悪(約200%)なのに、日本国債の長期金利は1%前後に留まっています。これは、郵貯やメガバンクなどが国債を大量に購入している、つまり買い手が沢山あるからです。

しかし、ひとたび債務危機が表面化すれば、銀行などが一気に国債の売却に走る危険性があります。こうなると、売りが売りを呼び、国債価格は大暴落(長期金利は急騰)することになります。

一部には「日本は対外資産が世界一だから破綻しない」だの「国債(政府の債務)は国民の資産だから問題ない」だのと、一見もっともらしい「日本非破綻論」が言われますが、これは間違いです。資産があるとかバランスシートがどうだとか、全く関係ありません。皆が怖いと思って国債を買わなくなれば、価格は暴落して、財政破綻へと繋がります。

株価が訳もなく暴落したり、噂話がきっかけで銀行の取り付け騒ぎが起きたりするのと同じです。本質的には問題が無くとも、人々が恐怖を感じて一斉にリスク回避の行動をとれば、危機は起きてしまうのです。

 

ゆうちょは貯金の9割を国債で運用している

郵貯と銀行の国債保有比率そして、国債が暴落すれば、ゆうちょやメガバンクが経営危機に陥ります。特に最も危険なのがゆうちょ銀行で、貯金で集めた資金=およそ180兆円の約9割を国債で運用しています(右図。2010年時点)。これは、郵貯は銀行のように融資業務を行えないため、必然的に国債で運用せざるを得ないからです。

したがって、財政破綻が起きれば、郵貯銀行の経営危機は避けようがありません。但し、ゆうちょには多くの国民が貯金しており、経済への影響力が余りにも大きすぎるので、公的資金が注入され、再度国有化が行われると予想されます。

ちなみにペイオフ制度により、郵貯や銀行のの預け入れ金は、1000万円まで保証されることになっています。しかし、財政破綻で極度のインフレが起きているため、額面金額では補償されても、実質的には貯金は大幅に目減りすることになります。また、そもそも日本政府が破綻する位なのですから、ペイオフ制度自体が破棄される恐れも否定できません。

 
  マネーガイドJP (C)2012.rh-guide . All rights reserved.