特集〜財政破綻で起きる10の事柄 from マネーガイドJP

日本国債への投資はタンス預金よりも劣る!

日本では、個人投資家が直に国債を買うことは出来ません。個人向け国債、もしくは投資信託(日本債券ファンド)という形で買うことになります。各種金融メディアでは、個人向け国債や日本債券ファンドは「安全資産」とされており、資産運用に積極的に活用すべきだと説かれています。

しかし、これは極めて馬鹿げた理論です。ひとたび財政破綻となれば、最も大きな被害を被るのは、国債を購入している人達だからです。「個人向け国債でも『変動金利』の方を買っていれば安全でしょ?」とか「タンス預金してるよりよっぽど有利でしょ」などと言う人は、自分が余りにも無知で、危険な行為をしていると自覚すべきです。

確かに財政破綻で金利が急騰すれば、個人向け国債の変動金利も上昇します。しかし、金利の見直しは半年毎ですから、財政破綻時のような急騰時には、実際の金利を大きく下回る時間が多くなります。また、変動型の個人向け国債には、1年の解約不能期間がありますし、途中解約すると直近二回分の金利が引かれるペナルティも課されます。

何より、政府が破綻しているのですから、国債償還のルール自体、守られる保証がありません。例えば現在、金融危機にあるギリシャの国債償還は、元本の50%程度がカットされる見込みです。日本の個人向け国債も、返済元本を大幅にカットされる可能性は十分考えられます。

一方、日本債券ファンドにしても、財政破綻のダメージの大きさは同様です。債券ファンドは「修正デュレーション」という数値を見れば、金利上昇時のファンド価格の変動が分かります。2012年現在、日本債券ファンドで人気の「SMT国内債券インデックス」や「eMAXIS 国内債券インデックス」などで、修正デュレーションが7.1年となっています。

修正デュレーション7.1年というのは、おおざっぱに言えば、金利が1%上昇するとファンドの基準価格が7.1%下落する事になります。例えば、欧米並みの長期金利が3%程度にまで上昇するだけで、日本債券ファンドは約14%ほど下落する事になります。もし財政破綻して、ギリシャ並の20%以上にまで長期金利が上昇すれば、ファンドの基準価格は計算上マイナスに陥ります。実際にはゼロ以下にはなりませんが、限りなくゼロに近い水準にまで、基準価格は大暴落する事になります。

日本債券ファンドでは「ラダー型運用」が取られており、暴落後数年経てば、新しく利率の高い国債の割合が増えますので、超長期でみれば、基準価格はやがて正常値に回復します。しかし、人は誰しも投資期間を無限大に設ける事などできず、何処かの時点でファンドを売却して現金化する事になります。もし自分がお金が必要な際に、日本国が財政破綻して、日本債券ファンドが大暴落中であれば・・・想像するだけで恐ろしいですね。日本債券ファンドは、個人向け国債同様、極めてリスクが高い金融商品なのです。

 

日本国債はリスクと利回りが全く釣り合わない

このようなリスクをはらんでいるにも関わらず、両者の利息は無いに等しいレベルです。最新(2012年3月締切り)の変動10年債の利息は年0.512%です。100万円分購入しても、利息は年5千円に過ぎません。こんな雀の涙ほどの利益が、財政破綻のリスクに見合うと思いますか?

また日本債券ファンドの利回りは、ここ2〜3年で2%近くありますが、これは国債バブルで長期金利が下がり続けたからです。しかし、上記のように財政破綻直後のダメージは、個人向け国債よりも日本債券ファンドの方が、遙かに大きいです。破綻すればゼロに近い水準まで暴落するような商品を、たかが1〜2%の利息のために買う事は、リスクに見合いますか?

タンス預金には利息は付きませんが、少なくとも引き出すことが拒まれたり、元本割れするようなことはありません。つまり、今の日本の国債に投資することは、タンス預金にも劣る、最低最悪の愚行なのです。


 
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