特集〜財政破綻で起きる10の事柄 from マネーガイドJP

東京五輪の中止(起きる確率=??%)

日本が財政破綻を起こせば、東京がオリンピックの開催を放棄せざるを得なくなる可能性が高まります。

現在、東京都は2020年度のオリンピック開催地に立候補しています。東京都は2012年や2016年の開催地にも立候補していましたが、この時ははっきり言ってライバルが強力すぎて、勝つ確率はほぼゼロでした。しかし、2020年については、東京が開催地に決定する可能性も十分あります。

2020年開催に最終立候補しているのは5カ国です。2012年がロンドンで開催ゆえに、20年もヨーロッパで開催というのは地域が偏り過ぎること、また同国出身でIOC(国際オリンピック委員会)を牛耳っていたサマランチ氏が死去した事で、スペイン(マドリード)は相当不利です。中東カタール(ドーハ)は、気候的にスポーツをする環境にはないので、いくらオイルマネーをばらまいても、常識的に難しいでしょう。よって、トルコ(イスタンブール)とアゼルバイジャン(バク)の中近東2カ国が、事実上のライバルとなるでしょう。すると、インフラの充実や治安面などで勝る東京が、開催を勝ち取る確率は高いと予測できます。

2020年五輪の開催地は、2013年9月のIOC総会で決定します。ところが、仮にそこで東京に決まったとしても、2020年までの間に日本政府が財政破綻となれば、開催を中止せざるを得なくなる可能性があります。国の財政が破綻し、街中に失業者が溢れかえっている経済状況で、オリンピックに金を回すことなど、感情的に納得いかない国民も多いはずだからです。

しかし、オリンピック開催を断行すれば、経済にプラスに働くという考え方もできます。インフラ改修など公共事業の需要が高まるので、破綻の影響が大きく受ける建設業界には、追い風となります。また、世界各地から観光客が押し寄せますから、大量の外貨を獲得できるので、国家財政にもプラスです。何より、破綻で沈んでいる日本人にとっては、五輪開催は明るいニュースですし、日本人がメダルを取ることによる国威発揚効果も期待できます。

アジア通貨危機で財政破綻同然に陥った韓国は、2002年の日韓ワールドカップ開催を中止せず、むしろ「国威発揚」に最大限利用し、その後の経済回復に大きく役立てました。それに日本政府の財政破綻は、当時の韓国などとは状況が異なり、国債の日銀引き受けだけで解決する問題です。仮に本当に財政破綻しても、東京五輪は中止せず、オリンピックを経済浮揚に活用した方が良いかもしれません。

余談ですが、実は日本では過去に、オリンピックの開催地に決まっていながら、その権利を放棄したことがあります。1940年に、オリンピックの東京開催が決まっていましたが、日本政府が開催権を放棄したのです。この時は戦争中だという理由がありましたが、もし単なる国の財政破綻で開催権を返上するとなれば、前代未聞の珍事となります。

 
 
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