失業率の増加(起きる確率=100%)
日本政府がデフォルト(財政破綻)を起こせば、失業率が大幅に増加します。これは100%間違いなく起こる事象です。
政府の財政破綻は、国債の償還が滞る、若しくは返済の一部棒引きが起こることを意味します。現在、ゆうちょやメガバンクなどは大量の国債を保有しており、とりわけゆうちょ銀行は資産の9割を国債に充てています。よって、日本政府が財政破綻すれば、これら金融機関が経営危機に陥り、従業員の大量解雇(リストラ)は避けられないでしょう。
金融機関の次は、建設業界に悪影響がおよびます。建設業はその性質上、銀行から大量の借り入れを行っています。その銀行が経営危機に陥るわけですから、当然ながら「貸し渋り・貸し剥がし」が大量に発生します。すると、資金繰りが成り立たない建設業者が激増します。
また建設業には、政府や自治体からの公共事業だけで成り立っている会社も、少なくありません。日本政府が財政破綻すると、当然ながら公共事業などは真っ先に削減の対象となるはずですから、建設業には強烈な逆風となります。
このような二重のダメージがあるため、建設業界では倒産が続出し、膨大な数の失業者が溢れることになります。そして、建設業の労働者というのは中高年層が多く、他に何の技能も持たない人が大半です。財政破綻しても、時代の先端を行く一部の業界(ITや外国語関連など)では、さほど景気は悪くならず、求人募集が続くこともあるでしょう。しかしそれらは、建設業出身の高齢者にとって、最もミスマッチな業種です。従って、彼らが早期に再就職できる可能性は、極めて少ないでしょう。
法律を改正してでも公務員のリストラが行われる
もう一つ、失業率を押し上げると思われる事象が、公務員のリストラです。現在の日本では、公務員は解雇が規制されており(国家公務員法75条など)、犯罪など特殊な事情を除けば、リストラは行えないことになっています。しかし、親会社ともいえる日本政府が財政破綻する訳ですから、公務員の身分が安泰で済むなんてことは、国民感情が許すはずが無いでしょう。実際に、財政破綻したほぼ全ての国で、公務員のリストラが行われてきました。日本でも単なる賃下げ(*注)ではなく、法改正を行ってでも、公務員のリストラが断行されることでしょう。
これらの要素が重なり、財政破綻後の数年は、極めて高い失業率が続くと予測できます。アジア通貨危機時に財政破綻寸前に陥った韓国では、97年に2%台だった失業率が、翌98年には約7%にまで上昇しました。また現在、財政破綻同然に陥ったギリシャでも、失業率が9%台(2009年)から約20%(2012年)に増加しています。
ゆえに日本でも、中高年層を中心に、場合によっては失業率が10%を越える確率もあると思われます。そのため、失業手当などの費用もかさみ、破綻による円安で経済が復活しても、政府の財政はすぐには良化しないと思われます。
*注:財政破綻すると急激なインフレになるので、公務員給与を賃下げせず「現状維持」で据え置くだけでも、事実上の賃下げ効果となります。しかし、絶対に解雇されないという身分は国民感情を逆撫ですることになるので、スケープゴート的な意味で、公務員のリストラは避けられないと思われます。 |