特集〜財政破綻で起きる10の事柄 from マネーガイドJP

預金封鎖が起きる(確率=5%未満)

日本政府が財政破綻すると「預金封鎖が起きる」と警告する書籍を、最近よく見かけます。もし本当に預金封鎖されるなら、我々国民は、国外への移住や海外金融機関へ資産を逃避させるなど、根本的な対策を考える必要があります。本当に預金封鎖は起きるのでしょうか?

実際に日本でも、終戦直後の1946年2月に、預金封鎖が行われた前科があります。「円」という名称自体は同じでしたが、戦前までのものを新しい「新円」に切り替えることが行われました。一般国民は、銀行預金の引き出しがひと月に「世帯主300円+家族一人100円」までに制限され、また銀行等に預けていない「タンス預金」についても、全て新円に交換することを余儀なくされました(旧円は廃止)。この新円切り替えという処置は、事実上の財政破綻だといえるのです。

では、今後の日本で財政破綻が起きた際、預金封鎖は行われるでしょうか?筆者は、その確率は極めて低いと予測しています。敗戦直後と現在では、社会情勢が違いすぎる事も理由の一つですが、それ以外にも根拠はあります。

預金封鎖というのは、財政破綻の中でもとりわけ社会的影響力が大きい行為です。日本国民はいうまでもなく、国際社会からも「日本政府は信用できない」というレッテルを貼られ、当分の間は三等国として社会的・経済的に蔑視されることになります。仮に財政破綻しても、預金封鎖までは行いたく無いというのが、政府の本音です。

 

インフレで帳消しに出来るので預金封鎖は必要ない

そもそも日本の場合、預金封鎖を行う必要性が全くないのです。他ページでも散々述べましたが、日本政府の借金は100%が日本円建てですから、最終手段として新たに通貨を発行して返済するという方法が使えるのです。その代償として、高いインフレが起こりますが、預金封鎖に比べれば影響ははるかに小さいです。

従って、財政破綻で預金封鎖が行われる確率は、限りなくゼロに近いと考えられます。預金封鎖を言う書籍などは、派手な文言で注目を引いて売上げ増を狙う、いわゆる「煽り本」であることが一つ。もう一つのパターンが、海外への資産逃避が必要だと説き、それを斡旋するビジネスへと誘導する、いわゆる「ステマ本」です。いずれにせよ、著者が預金封鎖を出汁にして、自分のビジネス拡大を狙っているに過ぎないので、鵜呑みにする必要はありません。

したがって我々は、国外への移住だの海外金融機関へ資産を移すだのと、大層な事を行う必要はありません。預貯金のうち余裕のある分を、日本国内の証券会社で外貨建て資産に変えておけば、財政破綻への対処は十分でしょう。

 
 
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