ネタの金庫
from マネーガイドJP
大学に通うには、高額な学費がかかります。4年間の総額は、国公立大学の場合で約500万円、私立の場合は文系か理系かで差がありますが、平均でも700〜800万円は掛かります。サラリーマンの平均年収は400万円台前半であり、この収入では、子供の学費を支払っていく事はかなり困難です。
このように、金銭的な理由で大学進学が難しい受験生のために、学費を借りる方法が主に4種類あります。以下で、それぞれの制度の特徴やデメリットなどを比較してみます。金利等は2014年時点の数値です。
日本政策金融公庫の教育一般貸付
一つ目は、教育一般貸付という制度です。教育一般貸付は、日本政策金融公庫が行う公的な学資ローンです。2.25%の固定金利と、民間銀行の学資ローンと比較して低く設定されている事、そして担保が必要無い事がメリットです。一方で融資額が、最大でも350万円までと少ない事がデメリットです。
日本学生支援機構の奨学金制度
二つ目は、日本学生支援機構(JASSO)の奨学金制度です。日本学生支援機構とは、国が学費の支払いに困っている学生達を支援するために設立された公的機関です。日本学生支援機構では、利息が付かない第一種奨学金と、年3%を上限とした利息が付く第二種奨学金があります。
第一種奨学金を得るには、特に優れた学生と認められなければなりませんが、それと比較して、第二種奨学金の審査基準はかなり緩やかです。どちらの場合であっても、無担保で借りれることがメリットです。
民間銀行の教育ローン
三つ目は、民間銀行の教育ローンです。これは、三井住友銀行や三菱東京UFJ銀行など、一般の銀行による学費の貸付制度です。細かな内容は銀行によって違いますが、平均を取れば日本政策金融公庫の教育一般貸付と比較して金利は高いです。例えば三井住友銀行の場合、有担保型の年利は2.975%、無担保型は3.475%となっています。ですが、有担保型の貸付上限金額は3000万円と、高額を借りることができる点がメリットです。
各大学固有の奨学金制度
四つ目は、大学が独自に行う奨学金制度です。制度内容は、個々の大学によって様々です。中には成績優秀者は学費の返済が不要、という完全給付型の奨学金制度を設けている大学もあります。
これら4つの方法を比較すると、それぞれに金利や担保の有無、借入金額の上限などデメリットが異なっており、どれが良い方法かは一概には言えません。詳細を確認して、自分の学力と家庭事情に合った制度を選ぶべきです。
そして注意すべき点は、これらの学費貸付制度は、将来的に返済する必要がある「借金」である事です。かつては奨学金といえば、返済義務がない給付奨学金を指していました。しかし、現在の日本ではほとんどが貸与奨学金であり、これは事実上の学資ローンで、返済義務があるのです(大学独自の奨学金だと、一部には返済不要の給付奨学金制度もあります)。
ところが、こうした奨学金制度に返済義務がある事を、借りる側の大学生が意外に理解していない問題があります。日本学生支援機構の調査によると、平成24年度奨学金の延滞者の45.3%が、返済義務を知らなかった(借りた後に返済義務がある事を知った)との事です。酷い例として、延滞督促を受けてから初めて借金である事を知った学生が8.1%もいたのです。
これだけ多くの学生が、奨学金制度の仕組みを知らないまま利用していたというのは、深刻な社会問題だと言わざるをえません。貸す側が予めきちんと説明していない事も問題ですが、借りる大学生側の認識の甘さは更に問題です。こうしたトラブルを起こさないように、学費に関わる制度は、あらかじめ内容を充分に理解してから利用する事が重要です。