ネタの金庫
from マネーガイドJP
最近はごく一部の名門ゴルフ場以外では、会員以外の一見客でもプレーできる「パブリックコース」が増えています。楽天GORAなどネット経由で申し込めば、平日なら1万円未満でプレーできるコースはざらにあり、中には5千円以下というコースまであります。
このような状況ゆえ、近年では「ゴルフ会員権」はもはや不良債権だという声も聞かれます。銀行が中小企業の担保を取る際、ゴルフ会員権は評価額がゼロで計算するというクチコミすらあります。
実際にゴルフ会員権の価格は、80年代後半〜90年代前半のバブル期に比べると、桁一つ分も下落しています。例えば日本で最も高額な小金井カントリー倶楽部は、バブル期の5億円から5千万円まで暴落しています (出典;会員権が高額な日本のゴルフコースランキング)。
このような世相から、ゴルフ会員権の価格はもはや値上がり要素が薄く、買うべきでは無いという評論家が多いです。しかし投稿執筆時(2016年)、情勢は少し変わってきています。ゴルフ会員権が値上がりする可能性が、少ないながらも出てきました。
値上がりの可能性がある要因は、日本銀行のマイナス金利政策です。2016年には長期金利(10年債利回り)がマイナスに転じ、銀行は今までのように国債の鞘抜きで儲けることが難しくなりました。同時に、融資の貸出金利も低下の一途で、住宅ローン金利が1%割れの水準まで下落しており、値下げ合戦が厳しいです。
また一般の投資家も、個人向け国債の利息がほぼゼロになり、また海外情勢などにより日経平均株価も上昇が頭打ちです。個人投資家も機関投資家も、資産の運用先が限られている情勢です。
このため東京では、湾岸タワーマンションを筆頭に強烈な不動産バブルが起きています。実際、2015年の銀行の不動産業向け新規貸出金額は、バブル期以来26年ぶりに史上最高額を更新(10兆6730億円)しています。
マイナス金利でマネーの過剰流動性が高まっているにも関わらず、株や債券などで利回りが期待できない訳ですから、不動産など実物資産へマネーが向かうのは当然の成り行きです。投機マネーが東京の不動産に次ぐ投資対象として、ゴルフ会員権市場にも流入してくる確率は、決して低くないはずです。
また日本の不動産を買い漁る中国系の投機マネーの存在も、要因として挙げられます。湾岸マンションのバブルにも、チャイナマネーの影響が大きいことが確認されています。中国の富裕層は、人民元の切り下げによる資産価値崩壊を恐れて、欧米や日本へ資産を移す(キャピタルフライト)を加速させています。今後は、日本のゴルフ会員権にも触手を伸ばす可能性も十分あると予想されます。
90年代のバブル崩壊に懲りたはずの銀行や投資家が、今再び東京の不動産を買い漁り、不動産の高騰を招いているのです。ゴルフ会員権価格も、再び投資マネーが流入してバブルが起きる要因は十分にあります。